話題沸騰中の佐野研二郎さんの五輪エンブレム問題。
昨日、ついに原案と修正案が発表された。これである。
左:原案 中:修正案 右:決定

私なりにこの問題に関しては勝手に悶々と考えていたのが、色々と調べた結果、昨日ついに霧が晴れた思いがした。
ポイントは「時代の変化」と「エンブレムの見方」にあるのだが、順を追って説明していきたい(特に要望はないのだが)。
ただ、私はデザインの素人なので、私が個人的に納得した理由であることは強調しておきたい。
まず、原案を見たときの率直な感想を言うと、
えっ、ちょっとダサい
である。
決定版のほうが素人ながらにスタイリッシュだと感じるし、そもそも今回のエンブレムのコンセプトであった「大きな円」が原案には存在しない。なんだかカクカクした印象を受ける。
佐野さんは最初の会見(下の10:50あたりから)で「Tの書体DidotとBodoniを見て、Tと円を組み合わせたロゴができるのではないかと思った」ということを述べていた。
まぁ、でもそれは修正する段階で「そう思った」ということであって、「最初からそう思った」とは述べていないので(たぶん)、「原案に大きな円がないではないか」とツッコむ人はたくさんいると思うが、私はそこは大した問題ではないと考える(だって本論のポイントはそこじゃないから)。
それよりも気になったのは、素人ながらに「ちょっとダサい」と感じるものが、なぜ数ある候補(しかもみなさん賞を複数回受賞している凄い方ばかり)の中から選ばれたのか? という率直な疑問だった。
今になってその理由がようやくわかったというか、腹落ちしたのだが、それは私がこのエンブレムの見方を全くわかっていなかったからであった。
このエンブレムは静止画として見てはいけない
と私は思うようになったのだ。「それはエンブレムではない」という意見があるかもしれないが、最後まで聞いていただきたい。
先日、ブレーン編集部によるエンブレム選考委員会への取材記事がアップされたが、その中で気になるワードがあった。それは「展開」である。約1,800字の記事の中に「展開」という言葉が15回ぐらい出てくる。
http://www.advertimes.com/20150827/article201503/
下記に一部引用する。
議論の中心になったのは、展開力と拡張性。街中に掲出されたとき、テレビ、Webではどう見えるのか。2020年に、このエンブレムはどうあるべきかなど、多岐にわたり、それぞれの専門性、見地、価値観から意見をぶつけあった。8名全員がこれで行こうと納得をするまで、議論を尽くし決定した。
議論の中心になったという「展開力」や「拡張性」とは、
この動画の58秒あたりからや、
これに示されるように、

要は、9分割した正方形のブロック(と大きな円)の要素でいかようにも展開できるし、拡張できます(自由自在にパターンを変えられるし、動かせる)、というところであり、そこが今回のエンブレムの最大の評価ポイントなのだと思う(オリンピックとパラリンピックのエンブレムをそれぞれ単独で、ということではなく)。
そこが評価される理由は同記事の「テレビ、WEBではどう見えるのか」という言葉にもある通り、
現在は「動画の時代」
ということが非常に大きいらしい(下の会見動画でも5:15ごろにそのような発言がある)。
今はYou Tube全盛の時代。さらに先日はAmazonが動画サービスに切り込んでくるというニュースが発表された。どこもかしこも動画、動画。つまり、「静止画でかっこいい、イケてる」よりも「動く」ということが重要なのだ。
http://www.amazon.co.jp/gp/press/pr/20150827/
最近、ネット上ではデザイナーの方などが代案を次々とあげているようだが、

佐野さんのエンブレムとこれらは「動画の時代」という観点でのみ見ると、全くの別物であると理解することができる。
たとえるならば、ガンダムのプラモとpepperぐらい違うのではないか。
これ(ガンダム)と、

これ(pepper)である。

同じロボットという括りなのに、誰が見たって「ガンダムのほうがかっこいい」と言うだろう。
さらにアップにして見てみよう。
これ(ガンダム)と、

これ(pepper)である。

確かに見た目はpepperのほうがダサい(失礼)かもしれない。
でも、ガンダムは3Dの世界では動けない張りぼてだが、
pepperはAI(人工知能)があるから自在に動けて話せちゃうのである。
何が言いたいかといえば、今回のエンブレムは「いかにかっこいいか」よりも「いかに動けるか」(展開と拡張)が議論の対象になった(のではないか)。だから佐野さんのエンブレムが採用されたと腹落ちしたのである。
つまり、審査員の方達にとって佐野さんのエンブレムはプラモのガンダムではなく、AIを有するpepperだったのだと私はひとり静かに納得したのであった。
最後にもう一度書くが、これはデザイン素人の私の独り言である。
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